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ハンファ・ロザリオが阪神入り決定的。KBO出身野手はNPBで成功を掴むことができるか。

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シーズン中から獲得が噂されていたロザリオ。MLB球団も獲得を検討しているとの情報もあったが、無事に獲得へこぎつけたようだ。KBOで2年連続30発を放った大砲。MLBでシーズン28発を放った経験もある28歳は大きな戦力として見込まれている。だが、KBOから鳴り物入りNPB入りした選手の中には、古くは李炳圭、最近ではナバーロなど、期待通りの活躍を見せられなかった選手もいる。果たしてロザリオはNPBで成功を掴むことができるのか。過去のKBO出身選手の成績と比較しながら検証していきたい。

ウィリン・ロザリオのKBO成績

  試合 打数 安打 本塁打 打点 三振 打率 出塁率 OPS
2016 127 492 158 33(4) 120(5) 90 .321(19) 0.367 0.960
2017 119 445 151 37(2) 111(6) 61 .339(8) 0.414 1.075

※カッコ内はリーグ内順位

2016年にMLBロッキーズからハンファイーグルスへ入団したロザリオは2年連続3割30本100打点を達成。今季はOPS1越えも果たし、リーグを代表する大砲としてその動向が注目されていた。

ここでまず注目すべきは、KBOの打高傾向。KBOは今季のリーグ平均打率が.286、昨季が.290と投高打低の様相を呈している。単純な比較ができないというのが正直なところだ。

そこで、主なKBO出身野手の移籍前(KBO)と移籍後(NPB)の成績を比較してみたい。

 

過去のKBO出身野手の移籍前→移籍後

T.ウッズ 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2002 119 .256 25 82 .339 .838   .263
2003 136 .273 40 87 .361 .921   .277

 

J.フェルナンデス 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2002 132 0.281 45 107 0.353 0.952   0.263
2003 126 0.303 32 100 0.376 0.947   0.276

 

李承ヨプ 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2003 131 0.301 56 144 0.428 1.127   0.269
2004 100 0.240 14 50 0.328 0.779   0.278

 

李炳圭 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2006 120 0.297 7 55 0.344 0.750   0.255
2007 132 0.262 9 46 0.295 0.665   0.274

 

金泰均 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2009 95 0.330 19 62 0.416 0.961   0.275
2010 141 0.268 21 92 0.357 0.786   0.271

 

李大浩 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2011 133 0.357 27 113 0.433 1.011   0.265
2012 144 0.286 24 91 0.368 0.846   0.252

 

ナバーロ 試合 打率 本塁打 打点 出塁率 OPS   平均打率
2015 140 0.287 48 137 0.393 0.988   0.280
2016 82 0.217 10 44 0.258 0.524   0.260

 

7選手の移籍前と移籍後の成績を並べた。各年代毎にリーグ平均打率がKBONPBとも変化しているため、それを考慮に入れる必要がある。(KBOがリーグ平均打率.280を超える打高傾向へ変化したのは2014年以降である。)

この中で、リーグ平均と比較して、KBO時代と同等の成績を残した選手は2003年NPB入りのタイロン・ウッズホセ・フェルナンデスの2名がいる。NPB平均打率が.270台とやや打高の傾向は見られるが、それを差し引いても同等、またはそれ以上の成績を上げた。彼らがは各球団のクリーンナップとして長くNPBで活躍したことは言うまでもない。

その他の選手については基本的に成績を落としている。特に打率の低下は著しく、こぞって6,7分ほどの低下がみられる。本塁打数はそれほど大きな変化はみられず、減ったとしても微減といったところか。これはストライクゾーンが狭いといわれるKBOの傾向を表しているのかもしれない。本塁打にできるような甘い球が来れば仕留めることができるが、厳しいところ(KBOならボール球だったところ)へ投げ込まれると対応することができない。そういう部分で本塁打数はさほど変化しないものの、打率が大幅に下降するという傾向が表れている可能性がある。その意味ではウッズ、フェルナンデスの2人は米国で「本来の(逆に外に広い)ストライクゾーン」が体に染みついていたため対応が容易だったとも考えられる。

 

ロザリオは阪神で成功を掴めるか

ここまでKBO出身者の成績を検証してきたが、結局は「成功することもあれば、失敗することもある」ということ。特にNPB入りした多くの選手は極端な打高傾向へ入る前の選手も多い。打高になった直近ではナバーロの失敗もあり、なかなかKBOの成績だけで期待できない部分もある。

ただ、ロザリオの実績はKBOだけではない。ここでMLBでの成績を見てみよう。

ロザリオ 試合 本塁打 打点 打率 出塁率 OPS
2012 117 28 71 0.279 0.312 0.843
2013 121 21 79 0.292 0.315 0.801
2014 106 13 54 0.267 0.305 0.739

この成績とちょうど比較できるのが中日・ビシエドMLB成績だ。

ビシエド 試合 本塁打 打点 打率 出塁率 OPS
2012 147 25 78 0.255 0.300 0.744
2013 124 14 56 0.265 0.304 0.731
2014 145 21 58 0.231 0.281 0.686

こうしてみるとロザリオのほうが成績が良いように見えるが、ロザリオはロッキーズで、ビシエドホワイトソックスで残した数字。ここにパークファクター(PF)の問題がある。

ホワイトソックスの本拠地であるギャランティード・レート・フィールドの2017年得点PF(他球場に比べてどれだけ得点が入りやすいか。1が平均値)は1.003とほぼ平均。それに対してロッキーズの本拠地であるクアーズ・フィールドは1.332。堂々のMLB得点PF1位だ。これはクアーズフィールドが高地にあり打球が飛びやすいことなどが理由として挙げられる。つまり、単純にロザリオ>ビシエドとは言えないわけだ。

ただし、そのPFを差し引いてもビシエド級の成績を残していたことは確かだ。その意味で、過去のKBO出身野手よりもその実力を裏付ける結果、根拠が強いともいえる。

ロザリオがNPBで成功することができるか。はっきりとはわからないが、上記の理由から、例えば元阪神・ゴメスや、それこそ中日・ビシエドレベルの活躍は見せてくれると結論付ける。