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村田修一の去就はどうなってしまうのか。村田を必要とするチームを洗い出す

村田にいまだオファーなし…戦力外にした巨人も困惑

「話はあると思っていたんだけれどね…」鹿取GM東スポ記者に吐露した言葉は、ファンの、そして村田修一の心境そのままだろう。

若返りを図る読売ジャイアンツから戦力外通告を受けた村田は、12月に入っても新天地が決まらない。通算1865安打360本塁打。今季も打率.260で14本塁打を放っている。まだまだ戦力として働ける一流選手だけに、ここまで決まらないとは…というのが率直な気持ちだ。各球団編成の思惑としては若い選手を使いたい、または新外国人の補強を優先している、などが挙げられるだろうが、それにしても、どこも手を挙げようとしないのはなぜなのか。

もう一度、芸術的な放物線を見に行きたい。もう一度、「右へ引っ張る」の本懐を見せてほしい。

10年前に村田修一に憧れたベイスターズファンの筆者が、各球団の編成事情を調査し、村田を必要としているはずの球団を洗い出してみせる。

各球団三塁手の今季成績

広島 安部友裕(28) 123試合 .310 4本 49打点
阪神 鳥谷敬(36) 143試合 .293 4本 41打点
DeNA 宮崎敏郎(28) 128試合 .323 15本 62打点
巨人 マギー(35) 139試合 .315 18本 77打点
中日 高橋周平(23) 41試合 .233 2本 10打点
福田永将(28) 95試合 .271 18本 49打点
ヤクルト 藤井亮太(29) 97試合 .257 2本 12打点
     
ソフトバンク 松田宣浩(34) 143試合 .264 .24本 71打点
西武 中村剛也(24) 115試合 .217 27本 79打点
楽天 ウィーラー(30) 142試合 .271 31本 82打点
オリックス 小谷野栄一(37) 130試合 .277 6本 47打点
日ハム レアード(30) 137試合 .229 32本 90打点
ロッテ 鈴木大地(28)*1 143試合 .260 11本 52打点
     
  村田修一(37) 118試合 .262 14本 58打点

広島は今季やっと安部が台頭。打率も3割に乗せ、唯一固定できなかった三塁も盤石になりつつある。阪神は三塁コンバート1年目となった鳥谷が打撃復調。まだまだやれるというベテランの底力を見せつけた。DeNAは宮崎が首位打者を獲得。一躍日本を代表する打者へ成り上がった。 巨人は昨オフ獲得したマギーが当たり、村田がお役御免となった。代打で使うならもっと若い選手を、ということなのだろう。中日は終盤高橋が三塁を守ったがぱっとせず。その代わり福田がブレイクの兆しを見せており、1塁ビシエド、3塁福田になりそうか。ヤクルトは今季藤井が三塁を守ったが、本来はシーズン中に椎間板ヘルニアの手術に踏み切った川端慎吾が不動の三塁手。来季は川端の復帰が見込まれる。

 ソフトバンク松田、西武中村はチームの核。楽天ウィーラーも再契約が決まり、来季も三塁を守るだろう。オリックス小谷野は少し不安だが、同じ年齢の村田を獲得したところで仕方のないことだ。日ハムはレアードを獲得したし、清宮が三塁手に挑戦する可能性もある。ロッテは鈴木大地の三塁コンバートが決まったばかり。

こうしてみていくと、やはり「レギュラー」として村田を必要としている球団は無いようだ。これがオファーが来ないことにも繋がっているのだろう。

だが、村田は「欲しいといってくれるところがあれば。」とレギュラーにこだわってはいない。もちろん、「こだわってはいられない状況になった」とも言えるが。

ならば代打はどうか。各球団、「右の代打」1番手の成績を見てみよう。

各球団「右の代打」の今季成績

広島 新井貴浩(40) 100試合 .292 9本 48打点
阪神 原口文仁(25) 73試合 .226 6本 25打点
DeNA G.後藤武敏(37) 26試合 .115 0本 3打点
巨人 石川慎吾(24) 99試合 .242 5本 20打点
中日 谷哲也(32) 53試合 .217 2本 11打点
ヤクルト 荒木貴裕(30) 91試合 .207 6本 25打点
     
ソフトバンク 川島慶三(34) 81試合 .264 5本 13打点
西武 メヒア(32) 113試合 .241 19本 53打点
楽天 今江年晶(34) 51試合 .250 1本 10打点
オリックス 武田健吾(23) 97試合 .295 2本 14打点
日ハム 矢野謙次(37) 44試合 .205 0本 10打点
ロッテ 伊志嶺翔大(29) 52試合 .173 0本 4打点
     
  村田修一(37) 118試合 .262 14本 58打点

 中日やヤクルト、また巨人など「次の世代」の育成を目指しているチームは期待の若手を代打で使いたいだろう。また、パリーグ球団はDH制を採用していることもあり、代打を起用する回数自体が少なくなる傾向にある。

そうすると、代打としての獲得を考えるのは必然的に広島、阪神DeNAに絞られていく。(パリーグ球団が指名打者要員で村田を獲得するくらいなら、新外国人で博打にでるだろう。)

広島は新井のほかにバティスタ、メヒアなどが控える。左の代打も西川などがおり、戦力はベンチまで十分すぎるほどに十分だ。元々可能性など皆無に近かったが、改めて見ると本当に野手は駒が揃っている。

阪神も「超変革」をうたうチームだけに、代打には若手を使いたいか。韓国ハンファのロザリオの獲得にも乗り出しており、もし獲得に成功すれば中谷や大山が代打要員としてベンチに控えることになる。代打・村田の必要性は小さい。そうすると残るは古巣・DeNAのみだ。

DeNAは今季、右打者で1番代打数が多いのは後藤だった。しかし結果は悲惨なもの。その後ろに控える右の代打も田中浩、白崎、白根と何とも言えない面々。細川成也がシーズン終盤に台頭したが、本格的に研究されれば一気に不振に陥りそうな脆さは否めない。まだ19歳。これからの選手だ。

さらに言えば、交流戦ではパリーグ主催試合で指名打者制となるわけだが、日本シリーズを戦って感じたようにパリーグとの大きな差はその指名打者にある。DeNA交流戦で毎年苦しい戦いを強いられる要員にはそういった部分もあるのではないか。

今季大和の獲得に乗り出したように、球団の来季への意気込みは大きい。「来年優勝する」という目標に向かうために、元主砲の村田を獲得するのは「アリ」ではないだろうかと思う。

結論

高田GMは「他球団でチャンスがあるんじゃないか」と獲得には否定的*2だが、こうしてみると他球団ではなかなかチャンスに恵まれなさそう。広島の新井のようなMVP級の活躍を期待するわけではないが、本気で来年優勝を目指すなら、「代打村田」「指名打者村田」はその実現のために必要な1ピースとして、検討に値するのではないだろうか。

村田がベイスターズのユニフォームを着て、ハマスタにアーチを架ける。もう一度その瞬間が見たいという1ファンの贔屓目かもしれない。それでも筆者は、村田がDeNAの優勝に必要なピースだと本気で考えている。