悲願の初戴冠。シュヴァルグランがジャパンカップ制覇
「この馬にGIを獲らせてあげたい」――
ジャパンカップ共同会見で友道康夫調教師が語った一言だ。昨年の天皇賞(春)、ジャパンカップで3着。今年の天皇賞(春)では2着。7度目のGⅠ挑戦。まさに陣営「悲願」の瞬間だった。
2017年ジャパンカップは5番人気シュヴァルグランが、先行した1番人気・キタサンブラックを差し切ってGⅠ初制覇。府中競馬場の締めくくりで生まれたのは大記録ではなく、苦杯を舐め続けた5歳馬の初戴冠だった。
元々は怒涛のGⅠ10連続複勝圏、そして歴代最多タイのGⅠ6勝と大波に乗るM・デムーロがシュヴァルグランへ騎乗する予定だった。しかしサトノクラウンに騎乗予定のR・ムーアがアイダホへ移ると、空いたサトノクラウンにデムーロがスライド。シュバルグランの背中には急きょボウマンが乗ることになった。
結果を見ればデムーロのサトノクラウンは着外へ沈み、ボウマンは「世界ナンバーワン」と友道調教師が評する騎乗技術を存分に見せつけて直線でキタサンブラックを捉え、先頭でゴールを駆け抜けた。
もちろん鞍上の力だけではない。京都大賞典から中6週、万全の体調へ整えた陣営の功績は計り知れない。また、期待に応えたシュヴァルグランの能力にもあっぱれだ。
一方でキタサンブラックはレイデオロにも捉えられて3着。ここで苦杯を舐めることになった。レース後には落鉄していたことが明らかになるなど不運な部分もあったが、昨年のようにペースを作ってレースをし、そしてシュヴァルグラン、レイデオロに差された。天皇賞(秋)の不良馬場で激走したダメージが残っていたこと、ラストランとなる有馬記念へ照準を合わせざるを得なかったことなど原因は様々あるが、「キタサンブラックのレース」をした上で敗れたという印象。ただ4着以下に大きく差をつけての3着。
また、レイデオロは3歳世代の強さを存分に見せてくれた。アルゼンチン共和国杯を制したスワーヴリチャード、菊花賞を制したキセキとともに、来年のGⅠレースを盛り上げてくれるだろう。