横浜DeNAベイスターズ2018年度のルーキーを「知る」
昨日、横浜DeNAベイスターズの2018年度新入団選手記者発表会が行われた。
ニュース | 2018年度 新入団選手 記者発表会を実施 | 横浜DeNAベイスターズ
先月のドラフト会議で指名された、育成選手1名を含む計10名のルーキー。
当記事のテーマは、来年、また5年10年先のベイスターズを担うかもしれない選手達の情報を「知る」ことにある。
- 第1順指名:東克樹 投手 立命館大
- 第2巡指名:神里和毅 外野手 日本生命
- 第3巡指名:阪口皓亮 投手 北海高
- 第4巡指名:斎藤俊介 投手 JX-ENEOS
- 第5巡指名:櫻井周斗 投手 日大三高
- 第6巡指名:寺田光輝 投手 石川ミリオンスターズ
- 第7巡指名:宮本秀明 内野手 パナソニック
- 第8巡指名:楠本泰史 内野手 東北福祉大
- 第9巡指名:山本祐大 捕手 滋賀ユナイテッドBC
- 育成第1巡指名:中川虎大 投手 簑島高
- まとめ
第1順指名:東克樹 投手 立命館大
球歴
中学時代は四日市トップエースボーイズに所属。先輩には谷口雄也(北海道日本ハムファイターズ、愛工大名電出身)がいる。
高校3年時にエースとして夏の甲子園大会に出場。園部聡(オリックスバファローズ)擁する聖光学院に初戦で敗れた。(愛工大名電対聖光学院 - スコア速報 第95回全国高校野球選手権(夏の甲子園2013) : nikkansports.com)
立命館大では3年時(巨人・桜井俊貴の卒業後)からエースとして活躍。4年時は関西学生野球連盟リーグで2季連続の防御率2位をマーク。(春1位は近畿大・岡田和馬<JR西日本へ内定>、秋1位は関西大・阪本大貴<大阪ガスへ内定>)
大学日本代表にも選ばれ、西武ライオンズの1位指名・齊藤大将(明治大)とともにプレー。ユニバーシアード大会では日本の優勝に貢献した。
選手としての特徴
左投左打。最速152キロの速球を持つとの触れ込みだが、基本的には常時140キロ前後。速球以上に東の武器となるのが制球力だ。リーグ戦では春秋合わせて92と1/3回を投げて四死球はたったの9つで、BB/9は0.88。9回投げて1つも四死球を与えないという計算になる。さらに4年秋に限れば35と1/3回で四死球は2つ。BB/9は0.51と圧倒的な数字を残している。リーグは違うが、石田健大の大学4年時のBB/9が2.07であることを考えるとその数字の高さがわかりやすいかと思う。
身長170センチと小柄な体格だが、コーナーに決まるストレートとスライダー、チェンジアップのコンビネーションで打者を打ち取る。映像を見る限り、タイプとしては石田が近いか。DeNAスカウトは直球の質、威力を挙げて今永昇太タイプとも評している。
不安要素を挙げるとすれば変化球の質がプロのレベルで使えるかどうか。今永ほどのストレート、濱口ほどのチェンジアップは持っていないように映る。そういった意味でもやはり石田に近い気がする。何はともあれ、「左腕王国」ともいえる若いDeNA投手陣に割って入るに足る実力を持っていることは間違いない。
第2巡指名:神里和毅 外野手 日本生命
球歴
高校3年時はリードオフマンとして糸満高の甲子園初出場に貢献。沖縄県大会決勝では多和田真三郎(西武ライオンズ)擁する中部商業を破った。
中央大では1年時から試合に出場。東洋大・原樹里(ヤクルトスワローズ)や駒澤大・今永らとしのぎを削った。4年時にはプロ志望届を提出するも指名漏れ。日本生命に進む。
日本生命では主力選手として活躍。2017年のBFAアジア選手権の際には社会人日本代表に選出され、JR東日本・田嶋大樹(オリックスバファローズ)や日立製作所・菅野剛士(千葉ロッテマリーンズ)、トヨタ自動車・細山田武史(元横浜DeNAベイスターズ)らとともにプレー。12打数6安打、打率.500をマークした。
選手としての特徴
右投左打。走攻守揃った外野手という触れ込みだが、打力はプロレベルですぐにはどうかな、という印象。ただその脚力は高校時代から注目されており、俊足巧打の左打者として筒香・梶谷・桑原のバックアップとなることが期待される。レギュラー3名の後に続く外野手が乙坂・関根と少し手薄な感が否めない中で、神里が第4外野手として代打、代走、守備固めとして選手層に厚みを持たせてくれるのではないだろうか。
第3巡指名:阪口皓亮 投手 北海高
球歴
北海高(甲)
大阪府出身。中学時代は大阪府の大正ボーイズに所属。盛岡大附属高から巨人育成1位指名を受けた比嘉賢伸とチームメイトだった。
高校は北海道の北海高校へ進む。3年夏に甲子園大会へ出場すると、最速148キロの速球を武器にして一気に脚光を浴びた。
選手としての特徴
右投左打。荒削りな素材型の大型右腕。2、3年でというよりは、4、5年で大成してほしい大器だ。なんといっても最大の魅力は186センチから投げ下ろされる140キロ後半の速球。スピードだけでなく球質も良く、低めでよく伸びる。体が出来ていけば150キロも超えていくだろうその直球を武器に、先発、またはリリーバーとして将来の戦力となってほしい。
第4巡指名:斎藤俊介 投手 JX-ENEOS
球歴
成田高→立教大→JX-ENEOS
成田高では2年時に1学年上のエース・中川諒の活躍で甲子園を経験。しかし斎藤がエースとして臨んだ3年時は県大会で敗れる。
立教大進学後は1年時から登板。2年春には最優秀防御率を獲得するなど主戦として活躍し、1学年下の澤田圭佑(オリックスバファローズ)とともに二枚看板を形成した。
JX-ENEOSでも主戦として活躍。他社の補強選手にも選ばれ、先発・救援の両方で全国大会の舞台を経験する。全国大会の通算防御率は2.12と、安定した投球を見せた。
選手としての特徴
右投右打。最速149キロのストレートと切れ味鋭いスライダーが生命線。特にストレートの伸びは守護神・山﨑康晃を彷彿とさせる。ストレートと変化球を制球良く投げ分け、三振を奪える即戦力のリリーバー候補。中継ぎ起用が明言されているだけに、山﨑へ繋ぐ7回・8回を担ってほしい。
第5巡指名:櫻井周斗 投手 日大三高
球歴
日大三高(甲)
日大三高のエースとして、清宮幸太郎(北海道日本ハムファイターズ)擁する早稲田実業高と名勝負を繰り広げた。2年秋の都大会決勝で早稲田実業高と対した櫻井は清宮から5打席連続三振。試合は敗れたものの、3年春選抜の出場権を獲得。初戦の履正社高戦では、今度は安田尚憲(千葉ロッテマリーンズ)から3三振を奪う。打倒・総実を期して臨んだ3年夏は、甲子園出場を果たすことになる東海大菅生の前に準々決勝で敗れた。
選手としての特徴
左投左打。ストレートは最速140キロ中盤。最大の武器は左腕から放たれる切れ味鋭いスライダー。超高校級打者である清宮・安田を寄せ付けないそのスライダーもまた超高校級。対左なら早い段階で結果を残しそう。
DeNAは投手として指名したが、野手としての才能も非凡。3年時の春季東京都大会決勝、18対17の激戦となった早実とのナイターゲームでは3点ビハインドの9回に反撃ののろしを上げるソロ本塁打を放つなど、投手でダメなら野手で、と考えたくなるバッティングセンスを持っている。
第6巡指名:寺田光輝 投手 石川ミリオンスターズ
球歴
伊勢高→筑波大→石川ミリオンスターズ
伊勢高では3年春に県大会4強。夏は4回戦で菰野高に敗れる。
その後地元の国公立大に進むが、野球部の練習に物足りなさを覚えて筑波大と地元の医学部を受験し直す。そこで医学部は不合格、筑波大に合格したことで筑波大に進んだ。
筑波大では4年時にようやくリーグ戦登板を果たすも、目立った成績は残せず。その後石川ミリオンスターズへ入団。
石川では1年目からクローザーを担い、40試合で防御率1.11をマーク。2年目も2.41の成績でNPB入りを果たした。
選手としての特徴
右のサイドハンド。140キロ前後のストレートとスライダー、カットボールのコンビネーションで攻める。はっきりと球筋の見える映像がないだけにはっきり言えないが、変則右腕で速球派ではないので、目指す投球スタイルは加賀繁か。直球の威力、スライダー・カットボールの精度によっては1年目から1軍で投げてもおかしくない、即戦力の活躍が見込まれる選手だろう。
第7巡指名:宮本秀明 内野手 パナソニック
球歴
秀岳館高では松尾大河の2学年先輩。甲子園出場はならなかった。
パナソニックに進み、3年目でドラフト指名を受けた。
選手としての特徴
右投左打。内野安打を稼げる脚力と、内外野守れるユーティリティ性が売り。パナソニックでは通算打率が.210と物足りないが、これからの成長に期待か。正直、結果を見ても物足りなく、体格や身体能力にも飛びぬけた才能は見られない。どこに注目して指名に踏み切ったのか、スカウトの眼力が試されている。
第8巡指名:楠本泰史 内野手 東北福祉大
球歴
中学時代は横浜の青葉緑東シニアに所属し、松井祐樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)とチームメイト。
高校は埼玉・花咲徳栄高へ進学。三塁や遊撃として出場し、3年春の甲子園に出場した。
その後東北福祉大へ進むと頭角を現し、仙台六大学リーグでタイトルを複数獲得。4年時には日米野球で大学日本代表にも選出された。
選手としての特徴
右投左打。柔らかなバットコントロールから生み出されるミート力が持ち味。内角は右へ、外角は左へ、逆らわずにうまく弾き返すという印象。肩も強く、足も遅くない。DeNAは外野手としての起用を考えているというが、左の巧打者という点で下園の跡を継ぐ打者になっていってほしい。外野守備は未知数。そこでは下園の跡を継いでほしくはないものだ。
第9巡指名:山本祐大 捕手 滋賀ユナイテッドBC
球歴
本職は捕手だが、高校時代は正捕手に同学年の石原彪(東北楽天ゴールデンイーグルス)が座っていたため、中堅手を務めた。3年夏に甲子園出場するも初戦敗退。
その後大学には進学せず、プロ入りを目指してBCリーグの滋賀ユナイテッドBCへ入団。再び捕手へ戻ると持ち前の強肩がスカウトの目に留まり、見事1年でNPB入りを果たした。
選手としての特徴
右投右打。二塁送球タイムが1.9秒を切る強肩が売りだ。高卒でBCリーグ入りしているため、まだ19歳。絶対数の少ない捕手陣の中で頭角を現すことができるか。
育成第1巡指名:中川虎大 投手 簑島高
球歴
簑島高
高校で投手転向すると頭角を表す。3年夏はエースナンバーを別の投手へ譲り、2回戦敗退。
選手としての特徴
右投右打。粗削りながら最速147キロのストレートが武器。高校で投手転向したという経験の少なさもまた魅力のひとつ。現状では変化球でストライクが取れず、そもそも直球と変化球でフォームが違う。しかしストレートの伸びは良く、打者を差し込むことができる。まずは育成契約とはなるが、ひとつずつ課題を克服し、その速球を武器に支配下登録を目指す。
まとめ
以上の10選手が来季、横浜DeNAベイスターズの一員となることが決まった。
即戦力という意味ではドラフト1位の東はもとより、4位の斎藤俊介投手に期待したい。あのストレート、スライダーは武器になる。平田真吾と似たようなタイプ、似たような役割を求められていると思うので、切磋琢磨してセットアッパーに定着してほしい。
また、打者では8位の楠本泰史選手のバッティングには非常にセンスを感じた。なぜ8位まで残っていたのか、プロのスカウトから見るとどこかに欠陥があるのかもしれないが、広角への打ち分けには非凡な才能を見た。将来3割打てる打者になると期待したい。
来季、即戦力としての働きが求められる選手から、3年後、5年後の飛躍が期待される選手まで様々いる。ドラフトの成否が明らかになるのは3年後、5年後だが、その時により多くの選手が1軍で活躍していればいいなと思う。