女子高校野球選手権大会の甲子園開催を実現させたい
「夢」と「目標」は似て非なるものだ。
「夢」とは、実現したら嬉しいとは思う一方で、実現のための実行を伴わない。そこには「実現できないだろう」という諦念がある。
では、「目標」とは何か。それは「必ず実現させる」という意志だ。その意志が衝動へと変わり、人を実行へと導いていく。そこに諦念は存在せず、だから「目標」が達成できなかった時、「悔しい」という感情が世界を覆い尽くす。
僕にとって甲子園は「夢」だった。
野球をやる者なら必ず1度は憧れたであろう聖地だ。そこで輝きを放つ球児をテレビ越しに見る度に、何度も「甲子園に行きたい」という「夢」を抱いた。それでも自分の才能を『賢く』評価して、無理だと諦めた。小学生の頃だったと思う。その瞬間、僕にとっての甲子園は「夢」のまま終わった。
それでも僕があの時、「夢」を「夢」で終わらせず、甲子園に行くために必死に練習して、たくさん食べてたくさん寝て、また練習して、と実行していれば、それは「目標」に変わっていた。
日本全国にある4000校近い野球部全てに甲子園の道は等しく与えられている。高校で野球部へ入部すれば、「甲子園を目指す権利」を手にすることができるのだ。
しかし、どれだけ努力してもそこへ届かない人もいる。
「夢」が「目標」へ代わり得ない人がいる。
それが、女子野球選手だ。
女子選手は高野連の規定で公式戦に出場することができない。
だから毎年甲子園のシーズンになると、どこかに必ずいる女子選手のことが話題になる。
「男子と一緒に頑張っている」「試合に出られないが、応援を頑張る」「その応援を力に、選手が戦う」
テンプレートに沿った記事ばかりだ。女子が男子と同じ土俵でスポーツをせざるを得ないという違和感は放置され、ただ「男子部員の為の高校野球」の装飾として扱われていく。
彼女らは納得して男子と一緒に練習に励んでいる。それは確かだろう。
しかしまた、「目標」を奪われた存在であることも確かだ。
女子部員の多くは少年野球から男子と一緒にプレーしてきている。そして甲子園で行われる同じ試合を見て、「甲子園に行きたい」という同じ夢を持っただろう。そして男子には、それを夢のまま終わらせる人間と、目標として野球に打ち込む人間がいる。
しかし女子にとってそれは目標になり得ないのだ。なぜなら、「出られないと決まっているから」。
他のスポーツのインターハイとは違う。甲子園とは野球人にとって一つのシンボルだ。すべての野球人の夢であり目標であり、象徴だ。
であるはずなのに、それが目標たりえるのは男子だけ。
女子選手は男子と一緒に練習しながら試合ではスタンドから応援する道を選ぶか、女子野球部に所属して「全国大会」を目標にするか、それしかない。甲子園は「夢」でしかない。
だから、僕は女子選手が甲子園を「目標」にできるように変わってほしい。
女子高校野球全国大会の甲子園球場開催。決勝戦だけだっていい。
努力のその先に甲子園が見える。本当の意味で、甲子園がすべての野球人の目標たり得る存在になる。そんな日を実現させたい。
スポニチが、女子高校野球決勝を甲子園で開催することが検討されているという記事を公開した。しかし後日、それは誤報として取り下げられた。
どんな経緯があったかはわからない。しかし、「甲子園開催」のニュースは多くの女子選手を湧かせた。レジェンドとして女子プロ野球界に名を馳せる小西美加選手、「可愛すぎる」と評判になった加藤優選手、また女子プロ野球リーグの公式アカウントまでもがSNSでこのニュースに反応し、喜びの声を上げた。
それほど、待ち望まれたことなのだ。
女子が甲子園でプレーできる。
そうなれば、男子と共にプレーしている女子選手も女子野球部という道を選ぶかもしれない。大会が盛り上がって女子野球部の数も増え、甲子園に憧れる少女が中学、高校と野球を続けるきっかけになるかもしれない。そうすれば女子プロ野球リーグだって注目されるようになり、それがまた競技人口の増加に繋がっていくかもしれない。
今や野球は男子だけのスポーツではない。甲子園というシンボルを男女共通のものにすることに何の異論があるのだろうか。
誰も文句なんて言わないはず。あとは高野連が重い腰を上げるだけだ。
キャンペーン · 野球を愛するすべての人々: 女子にも高校野球があります。せめて決勝戦だけでも甲子園で開催できるようにしてください!女の子だって、甲子園! · Change.org
石川雄洋とはすなわち、ベイスターズである
村瀬秀信さんが著した『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』を、今更ながら読み終えた。大洋、横浜、DeNAと連なっていく球団の歴史を往年の名選手らへのインタビューから明らかにしていくベイスターズファン必読の名著。軽妙で自虐的な文体に「わかるなあ」と何度も笑わされ、村瀬氏の球団愛溢れる文章に「わかるなあ」と何度も泣かされた。ひとつの歴史書として、過去を知らないベイスターズファンにベイスターズの何たるかを教えてくれる。ひとつの物語として、過去を忘れようとするベイスターズファンにベイスターズの何たるかを思い出させてくれる。そんな力に満ちていた。
そこに描かれていたホエールズ、そしてベイスターズはなんともおおらかで、不器用で、適当で、それでいて熱さ、ひたむきさが失われることはなく、ただそれが嚙み合わない。ファン歴10年にも満たない筆者だが、それでも「既視感のある話だ」と苦笑いしてしまうほどに、脈々と連なってきた横浜の血があった。
そしていつの間にか、そこに描かれる球団を一人の選手と重ね合わせていた。
それが、石川雄洋だ。
続きを読む村田修一の去就はどうなってしまうのか。村田を必要とするチームを洗い出す
「話はあると思っていたんだけれどね…」鹿取GMが東スポ記者に吐露した言葉は、ファンの、そして村田修一の心境そのままだろう。
若返りを図る読売ジャイアンツから戦力外通告を受けた村田は、12月に入っても新天地が決まらない。通算1865安打360本塁打。今季も打率.260で14本塁打を放っている。まだまだ戦力として働ける一流選手だけに、ここまで決まらないとは…というのが率直な気持ちだ。各球団編成の思惑としては若い選手を使いたい、または新外国人の補強を優先している、などが挙げられるだろうが、それにしても、どこも手を挙げようとしないのはなぜなのか。
もう一度、芸術的な放物線を見に行きたい。もう一度、「右へ引っ張る」の本懐を見せてほしい。
10年前に村田修一に憧れたベイスターズファンの筆者が、各球団の編成事情を調査し、村田を必要としているはずの球団を洗い出してみせる。
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